360モデナ/スパイダーは非常に完成度が高いクルマですが、さすがに20年以上経っているスポーツカーですので、トラブルはそれなりに付き物です。
ここでは、定番のトラブルについて記載していこうと思います。
あくまでも”定番”ということで、今回はこの本も参考にさせてもらいました。
1.エンジン関連
エンジンまわりについては、初期型では設計上のトラブルがかなり出たようです。
たとえばバルタイのテンショナー周りの破損などです。
ただし、現在、その症状はほぼ出尽くし、対策品などで改善されている模様です。
エンジン関連と言えば、やはり最悪なのはエンジンブローです。
が、エンジン自体は丈夫なので、普通、オイルや水の管理を怠らなければ、エンジンブローは起こりません。
大切なのは、ご存じタイミングベルト交換です。
マニュアルでは3年5万kmが交換時期となっていますが、3年で5万km走る人はまずいないので、実質3年毎です。
個人的には、そんな簡単に切れないだろうと思ってるんで、私のクルマは5年前の購入時に交換したままなのですが、まあ、常識的に考えて、車検2回(4年)毎くらいがいいんじゃないでしょうか。
ただし、切れると即バルブ君が死亡確定(200万円コース)です。責任は持てませんので、みなさんマニュアルに従って下さいね。
関連するところでは、カムカバーのオイル漏れなどもたまに見られます。タイミングベルトと同時交換がいいかと思います。
そのほかでは、O2センサやエアフロセンサーなどのセンサー系も弱いようです。特にエアフロセンサーは高い(部品代で10万円)ので、ちょっと痛いですね。
一番怖いのは、燃料ポンプです。
燃料ポンプのカバーには、常に圧力がかかってますが、これが熱に弱いプラスチック製のため、ガソリンがエンジンルーム内に漏れ出します。
少しでもガス臭さを感じた際は、すぐ止めて修理しましょう。
エンジンブローの上を行く、「火災」(一発廃車)に発展する可能性があります。
2. トランスミッション
これは、F1かMTかによって若干異なります。
もちろん壊れやすいのはF1で、これが中古車価格にも表れているようです。
まず、MTの場合ですが、トランスミッション自体はそれほど弱くありません。
もちろん無理なシフトを繰り返すと、ギア欠けでオーバーホールということもあり得ますが、それなりにミッションオイル交換をしておけば、そこまで心配することはないでしょう。
ただし、クラッチは消耗品なので、いずれは交換となるでしょう。
ただし、これは乗り方に大きく影響します。私はできるだけクラッチを労わるよう、アイドリングスタートで、できる限り半クラッチも短くするよう気を付けています。
乗り方もありますが、都会かどうかというのも結構差が出るかもしれません。
上手く乗った場合は、10万kmくらい持つようですが、経験上その前にレリーズベアリングや周辺のシールなどが寿命を迎えると思いますので、何かが寿命を迎えた際には周辺をフルオーバーホールということになります(ディーラーだと100万円前後。高い。。)。
F1の場合もミッション自体は同じですので、基本丈夫ですが、クラッチ周りの寿命は全く異なります。
左足の能力でクラッチ寿命を延ばすことができないので、酷いと数千km~数万kmでクラッチの寿命を迎える場合もあるようです。
特に調整をちゃんとしていない(特に初期は半クラッチを長く使う設定だった模様)個体や、都会で渋滞にハマりまくっている個体は辛いでしょうね。
それにプラスして、F1ポンプのフィルター詰まりで警告灯が点いたり、アクチュエーターが故障したり、ホースからオイル漏れしたりします。
そもそもF1ポンプはみなさん消耗品扱されているようです。
最悪の場合は、F1を制御しているECUが死亡します。
今のトコロは普通に修理できるようですが、一世代前のF355はこのECUがすでに廃盤になっているらしいので、メカよりも電気系が心配かもしれませんね。
3. 電装系
電装もウィークポイントですが、高額なところで行くと、エアコンでしょうか。
やはり、ガイシャあるあるで、エアコンは弱いです。特にコンプレッサー自体が壊れやすいようです。
この場合、純正品だと、部品だけで50万コースです。リビルト品が上手く手に入れば安く済むようですが、海外の粗悪品等もあるので、ディーラーなんかは使いたがらないようですね。
バッテリー自体はフツーですが、電源周りのアース不良で警告灯が点いたりもするようです。ただし、酷いと断線・発火の原因にもなるらしいので、注意が必要です。
オルタネーターも弱い事で有名な部品。熱の影響で壊れやすいようです。止まってる時に気付けばいいですが、走行中、信号待ちなどで止まると、再始動出来なくて立ち往生となる危険があります。
パワーウインドウは、パンタグラフを上下するタイプですが、固定ボルトの緩みなどで、ドアが下がるトラブルがあります。ドア開閉時に下がらなくなる事もあり、最悪その状態でドアを閉めると、窓が割れる事もあり得ます。
セキュリティも面倒です。
壊れるとドアロックが出来ないなどのトラブルが起きます。
また、セキュリティアラームは消耗品。室内LED点灯は充電式バッテリーの電池切れの警告を兼ねており、光った場合はアラームユニットの交換が必要。
これが部品だけで10万円します。
放っておくと、アラームがいきなり鳴り響くことも。。。
メーターのバックライト切れも迷惑 で、死んだらアッセンブリ交換になり高額です。中には故障部品だけを直してくれる工場もあるようですので、専門店に相談してみましょう。
その他には、可変ダンパーの警告もありがちです。
ダンパーの寿命(シール劣化など)だと、交換になり1本30万円レベル。こうなると社外品を入れた方が良さそうです。
あるいはGセンサーなどの不良で点灯することもあるようですが、テスターではピンポイントで故障箇所が分からないらしく、工賃はそこそこになるようです。
4.内外装
一番メジャーなのは、内装ベトベト問題でしょう。これは360どころか、つい最近のモデルでも起きるようで、もはやフェラーリの伝統芸です。
まあ、モデナの場合はほぼ出尽くして、大体対策済みだと思います。
塗装が弱いのも同じく伝統芸。
新車のフェラーリを買うなら、フロントはラッピングしてください。
中古のモデナは、たぶん今更でしょうね。凄く綺麗な個体なら、今からラッピングもありかと思いますが、それはそれでそこそこ高価です。
スパイダーのオープン機構も良く壊れるようです。雨漏りまではあまり聞きませんが、開かない閉まらないは結構あるあるです。
変わったところでは、初期のヘッドランプは、日光を集光する構造になっているようで、ライトカバーが焦げるそうです。
また、このライト、くすんだり、内部に水が入ったりもありがちで、じゅあ交換と思うと、片方で2、30万コースとの事です。。
こう書いてくると、とても壊れやすいように見えますが、年式を考えると、国産スポーツカーやその辺のガイシャでも、こんなもんでしょう。
なかでもF1やオープン機構周りのトラブルは良くある割に独特なんで、嫌な方にはワタシと同じ モデナ(クーペ)のMT をお勧めします。
ただ、その辺のクルマと比べると、圧倒的に部品、工賃が高いのは事実。
残念ながら、信頼性はそこそこでも、金がかかるのは間違いないデス。
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